関節内局所麻酔(ひざ関節症)
変形性膝関節痛とは
中高年の女性で最も多いお悩みの一つがひざの痛みです。ひざに痛みをもたらす病気には色々なものがありますが、その中で最も多いのは立ち上がるときや階段の昇り降りの際にひざの内側に痛みが生じる「変形性膝関節症」です。関節性膝関節症は、中高年の肥満の方や中腰で仕事をしている方に多く見られ、生活習慣病の一つとも言われています。一般的に女性に多く、これはホルモンの影響や、女性の方が男性に比べて筋力が弱いことが原因と考えられています。また、肥満体質の方は、太っているとひざに余分な負担がかかることも原因と考えられています。
更に、膝関節では、上の骨と下の骨が直接ぶつからないように、それぞれの先端が軟骨で覆われていてクッションの役割を果たしていますが、この軟骨が加齢によりすり減ってしまい、骨と骨が直接あたって炎症をおこし、やがて関節が変形してくることも原因と考えられています。
変形性膝関節症は、症状が急激に悪化することはなく、ゆっくりと進行していきます。しかし、ひざの痛みが続くと、ももの筋力が落ちて、膝がぐらつき、坂道を下ることもきつくなります。痛みが増してひざに腫れや熱が出たり、夜間にも痛みが続くようでしたら、医師に相談しましょう。
変形性膝関節症の治療法
変形性膝関節症の治療法には、「運動療法」「薬物療法」「物理療法」や「手術療法」などがあります。しかし、治療の一番の基本は患者さんが日常生活に注意しながら過ごすことです。肥満を改善する、正座はしない、重いものを持ち歩かない、杖を持つなど普段から膝の負担を減らすよう心がけて頂くことが大切です。
主な薬物療法
1) 消炎鎮痛剤
内服薬、座薬、外用薬があります。炎症の原因となる物質を抑えて、関節の炎症や痛みを和らげます。貼り薬には、温熱タイプと寒冷タイプがあります。膝が腫れていたり、熱を持っている場合には寒冷タイプが使われます。また当院では、変形性関節症、腰痛症に伴う慢性疼痛に対して、ノルスパンテープを処方しております。これは、週1回貼付する経皮吸収型の疼痛治療テープで、これまで非ステロイド性抗炎症剤等を投与しても治療困難であった変形性関節痛及び腰痛症に対して、鎮痛効果を示します。ノルスパンテープの有効成分であるブプレノルフィンは、皮膚から徐々に吸収され、安定した血中濃度で血中を移行して中枢神経に作用します。7日間効果が継続致しますので、張り替える手間がありません。
2) 関節内注射
膝に注射をする薬は、軟骨を守るための薬や痛みを取るための薬などで、患者様の症状により注射内容は異なります。また、膝の内側に痛みが起こっても、厚みのある筋肉や大切な神経があるために、外側から注射をすることが一般的です。当院では、膝のヒアルロン酸は炎症をやわらげ、痛みを軽減し、関節の働きを改善させるために使用致します。また、ステロイド剤は炎症が強い場合に使われます。
なお、注射の前に膝にたまった水を抜かせて頂くことがありますが、膝にたまった水を抜くことは、痛みの原因を取り除くだけでなく、病気を正しく診断するためにも非常に大切です。症状の重さに関係なく、水抜きをしても決して癖にはなりません。水が溜まった状態のままでは、関節が緩んだり、軟骨がもろくなったりします。