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人工妊娠中絶手術は週数が進むほど心身の負担が重くなります。

人工妊娠中絶手術は11週6日までに行われる手術を初期中絶手術、12週以降に行われる場合には中期中絶手術といい初期と中期とでは法的にも手術方法も明確な区別がされています。一口に人工妊娠中絶手術といっても初期と中期ではその方法、リスク、費用などが全く異なります。(なお、22週を超えると母体保護法によりどのような理由があっても中絶を行うことは出来ません。)

胎児の命とお母さんの人生に関わる大きな問題であるにもかかわらず決断を急がなければならないということは、精神的にとても辛いことだと思います。しかしながら、初期と中期では、手術の内容が全く異なり、中期中絶手術は心身の負担がより重くなります。当院に来院下さる患者様とそのパートナーの中には、この違いをご存知ないまま、時間をかけて迷っておられる方が多くいらっしゃいます。そのため、この手術を受けようかと考えている方には、初期手術と中期手術との違いについてご説明したいと思います。

初期中絶手術と中期中絶手術のちがい

初期中絶手術と中期中絶手術が大きく異なるその理由は、手術方法の違いにあります。初期中絶手術では掻把法と吸引法という2つの手術法により、スプーンのような形の器具で出したり、吸引機を使用して体外に出します。しかしながら、中期中絶手術(12週以降)では、お腹の中の赤ちゃんが大きくなりすぎてしまっていて無理な掻把や吸引は危険を伴うため、人工的に子宮口を広げて、陣痛を起こして流産させるという(=出産と同じ)方法を取らざるを得ないのです。

初期中絶手術では麻酔によりほぼ無痛での処置をすることが出来るのに対して、中期中絶手術になると子宮口を開き陣痛を起こす過程で陣痛と同じ激しい痛みが伴います。そしてその痛みは週数が遅ければ遅いだけ強くなります。

また、初期中絶手術は手術にかかる時間そのものも15分前後と短いので、手術をしたその日に回復をしっかり確認してからお帰りを頂くことが可能なのですが、中期中絶手術では最低2日前から入院して子宮口を徐々に広げていく前処置が必要であり、陣痛が起きてから胎児が出てくるまでに丸一日以上かかることもあるので、3日間〜1週間程度の入院が必要になります。

このように日帰りと入院という違いがあるため、手術にかかる費用も初期中絶手術では10万〜15万程度であるのに対して、中期中絶手術では30万〜60万円と高額になります。また、法律的にも中期中絶手術は「人工死産」としての扱いになり、埋葬許可書を取り埋葬を行い、死産届を区役所に提出しなければならないなどの手続きも必要になってきます。(初期中絶手術は不要)

このように、人工妊娠中絶は週数が進むほど心身の負担が重くなります。とりわけ11週6日までと12週以降では、手術の内容が大きく変わってきます。時間をかけて出産するかどうかを悩みたいという気持ちは理解して余りあるのですが、中絶手術を考えるのであれば11週6日(初期中絶)までに受けるようにしましょう。

なお手術にあたっては、手術日の予約や血液検査、パートナーの同意書などの準備にも日数がかかります。(血液検査は最短で翌診療日)とりわけパートナーの同意については、相手があることだけに時間がかかるケースも数多く見ております。

中絶手術を受けるかどうかの決断を11週ぎりぎりに行うと、12週をすぎて中期中絶手術になってしまったり、希望の施設で手術を受けられない等のリスクがあります。中絶手術を希望する方は、①早めに病院に行き手術の予約をし、②遅くとも10週までには最終的な決断を下すようにしましょう。

◆初期中絶と中期中絶の違い

  初期中絶 中期中絶
期間 11週6日まで 12週0日~21週6日まで
方法 掻把法や吸引法 出産と同じく陣痛を起こす(胎児が大きく、無理な掻把や吸引は危険なため)
入院の有無 日帰り可能 3日〜1週間前後の入院 
受け入れ医療機関 日帰り可なので母体保護法指定医であれば可能(多い) 原則、入院施設が必要なため受け入れ可能な医療機関が限られている(少ない)
費用 10万〜15万(週数による) 30〜60万 (週数による)
痛み 麻酔により眠らせほぼ無痛での処置をすることも可能 子宮口を開き陣痛を起こす過程で激しい痛みが伴う
処置そのものにかかる時間 15分〜20分 前日や前前日からの術前処置が必要で、丸一日以上かかる
法律上の扱い 人工妊娠中絶 人工死産
死産届け 不要 死産届を区役所に提出
埋葬 不要 埋葬許可書を取り埋葬
心理的ストレス
中絶後遺症候群(PAS)
ある 精神的負担がより大きく、中絶後遺症候群(PAS)になるケースも多いと推定される