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梅雨など、時期によって食中毒の質問も増える時期があります。気を付けるべき成分を紹介するとともに、一般的に妊娠中に食べてはいけないものや避けて欲しいもの、気をつけていただきたい食品、注意しないといけない食中毒とその予防法、対処法などについて説明します。

トキソプラズマ

トキソプラズマは家畜の肉や猫の糞、土の中にいる単細胞の寄生虫であり、人から人への感染はありません。

健康な人が感染しても問題はありませんが、妊婦が初感染すると胎盤を通して胎児に感染する可能性があります。妊娠初期に感染してしまうと、流産・死産・水頭症・脳室肥大などが引き起こされる可能性があります。

また、妊娠中期~後期にかけて感染すると、水頭症や視力障害、運動機能障害などの症状を引き起こすことがあります。しかし、妊婦さんが妊娠中に感染しても赤ちゃんに感染しない場合もあります。

トキソプラズマに感染すると、初期は風邪のような症状があり、発熱・だるさ・リンパの腫れなどが見られます。また、感染しても妊婦さん自身も症状が現れないこともあり、その場合は治療の必要はありません。

動物からの感染は猫からだけと言われており、猫のトイレに病原体があることが多いため、猫のトイレの掃除は家族に頼むなどしましょう(犬は心配ありません)。また、生肉からも感染することがありますので、肉類はしっかりと中まで火を通して加熱して食べましょう。また肉を切ったときに使う包丁やまな板はきちんと殺菌・消毒しましょう。

トキソプラズマは早期であれば抗生物質により、お腹の赤ちゃんへの感染率を下げることが出来ます。

感染の恐れのある食材

生ハム、ユッケ、レバ刺し、レアステーキ

水銀

メチル水銀は、体の中に取り込まれても徐々に体外へ排出されますが、胎児には体外へ水銀を排出する機能がないため、神経障害や発達障害をきたす危険性があります。

一般的に魚介類は、タンパク質やDHAが多量に含まれヘルシーな食材として妊娠中の食事として推奨されておりますが、マグロなどにはメチル水銀という有害物質が多く含まれる可能性があります。

メチル水銀は、他の魚介類にも含まれておりますが、その量は微量で妊婦さんが摂取しても有害ではありませんがマグロやキンメダイ、メカジキなどが問題となるのは小さな魚を餌にする事で体内に蓄積されるからです。

だからといって、「絶対にマグロを食べてはダメ!!」というわけではなく、ほかの文献によるとクロマグロやメバチマグロで一週間に80g(切り身一切れ程度)が摂取上限量ですので、時々お寿司を食べたからといって胎児に悪影響を与えるまでは及びません。

リステリア菌

リステリア菌は河川水や動物の腸管、魚介類、昆虫などに広く存在する食中毒を起こす細菌の1つです。一般的な食中毒菌と同様に、加熱により死滅しますが、4度以下の低温や12%食塩濃度下でも増殖可能な強い菌です。

健康な人だと非常に多くのリステリア菌を摂取しなければ発病はしませんが、妊婦さんや高齢者などの体力が弱い方、免疫力の低い方は感染すると重症化しやすいと言われています(健康な成人の約20倍かかりやすい、とも言われています)。

幸いなことに、日本におけるリステリア食中毒の報告例は少ない(食中毒の重症報告例はまだなく、リステリア感染症の推定患者数は年間200人;厚生労働省調べ)のですが、妊娠中の方、高齢者の方は特に注意が必要です。

感染初期には38~39度の発熱・頭痛・嘔吐・下痢・悪寒などの症状を呈し、重症化した場合には致死率が20〜30%と高いことが特徴で、妊婦さんが感染すると子宮内胎児にも罹患し、流産や早産の原因となる事があるため、WHOが注意喚起を行なっています。

とりわけ、冷蔵庫に長期間保存されていて、加熱せずにそのまま食べられる食品は原因となりえますので、注意が必要です。

リステリア菌は加熱により予防でき、抗生物質によって治療が可能です。妊娠中は、抵抗力が弱くなっていますので、リステリアに限らずあらゆる菌を避けるためにも、食品をしっかり加熱して食べるようにしてください。

気を付けたほうが良い食品例

  • 生ハムなどの食肉加工品
  • 未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの加熱せずに製造された乳製品
  • スモークサーモンなどに魚介類加工品

サルモネラ菌

サルモネラ菌は直接胎児に影響しませんが、食中毒を引き起こす原因菌です。激しい下痢を起こすと子宮収縮をもたらし流産や切迫早産になる可能性があるので注意してください。

感染の恐れのある食材

生卵、生スプラウト、加熱不十分な肉類など

ヨウ素

ひじき、昆布、わかめ、のり、インスタント昆布だしなどは甲状腺ホルモンの原料であるヨウ素が含まれています。取りすぎると甲状腺機能低下症、逆に全く摂取しないとヨード欠乏症になり、流産や胎児の脳障害を起こす可能性があり、児の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)を発症することもあります。

ちなみに、厚生労働省の妊娠中のヨードの推奨摂取量は2.2mg/1日です(昆布で1g、ワカメで2g)。

子宮収縮を促す食材

香辛料、スパイスの過剰摂取は流産・早産を引き起こす可能性があるため、注意してください(ウコン・ターメリック、シナモン、ナツメグetc)。

アロエも子宮収縮作用があるため、過剰摂取に注意してください。

その他

ビタミンAの過剰摂取も児の成長障害や先天奇形の原因とされていますので、レバー・うなぎなどの摂りすぎには注意してください。