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PMS(月経前症候群)

月経前症候群(PMS)とは月経前に現れる下腹部痛や乳房の痛みや張り、腰痛、頭痛、肩こり、めまい、肌荒れ、むくみ、イライラ、憂鬱などの状態を指し、月経前不快気分障害(PMDD)はその重症型とも言われて精神的な抑うつ症状が重く出るものです。原因は、まだはっきりとしたことは分かっていませんが、生理の前に女性ホルモンのバランスが急激に変動することが大きな原因であると考えられていて、全体で約5〜8 割の女性にPMSが見られると言われています。多くは身体的な症状と精神的な症状が同時に現れます。月経前症候群は精神的な症状があるので、うつ病と思い込んで心療内科を受診する方や、更年期と自己判断をして受診しない方も多いのですが、以下のような症状であれば月経前症候群(PMS)の可能性があるのでぜひ一度、婦人科にご相談にいらして下さい。

症状・診断

月経前症候群は排卵後まもなく、または数日後に出現し、月経直前にピークとなり、月経開始後4日以内に消失し、次の排卵までは出現しない場合がほとんどですが、排卵期にも症状がみられる場合や、月経終了まで症状が持続する場合もあります。

診断基準としては、以下のような条件を満たす場合に月経前症候群と診断致します。

1・過去3回の月経周期において、抑うつ、怒り、イライラ、不安、混乱、ひきこもりなどの精神症状のうちのと、乳房通、腹部膨満感、頭痛、手足のむくみなどの身体症状のうちの各1つずつ以上が連続して存在した。

2・症状が排卵後まもなくまたは数日後に出現し、月経開始後4日以内に消失し、月経周期13日目までは再燃しない。

3・薬物療法やアルコールの使用による精神症状ではなく、日常生活において支障があるほど症状が重い。

治療としては、軽症の場合には何も対処する必要はありませんが、中等症以上の PMS および PMDD では薬物治療などの対応が必要で、海外ではドロスピレノン含有の LEP (月経困難症治療薬、ヤーズ・ヤーズフレックス)がPMS/ PMDD に有効であるとして処方されています。しかしながら、日本においては PMS/ PMDD は適応外となっています。そのため、月経痛がひどい方には、月経困難症治療薬としてヤーズ、ヤーズフレックスの服用が可能ですが、それ以外の場合でPMS/ PMDDが気になる場合には、ホルモン量が一定で変化しない一相性のピル(OC)の服用がおすすめです。人によっては漢方薬で改善がみられる場合もあります。

また、非薬物療法としては、ストレスをコントロールしたりリラクゼーションを行ったり、有酸素運動を行うことが有効であると考えられています。食事療法としては、カフェイン、塩分、精糖類を控え、ビタミン、ミネラルを含むバランスのよい食事が推奨されます。また、サプリメントとしては、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB6、ビタミンEなどが有効です。

生理痛・月経困難症 とは

生理痛で悩んでいるのはあなただけではありません。およそ8割の女性が、程度の差はあれ生理痛の痛みに苦しんでいます。では、どういう痛みだったら、婦人科に相談したほうがよいのでしょうか?そのポイントは、

• 鎮痛剤が手放せない
• 生理のたびに痛みがひどくなる

時々、鎮痛剤を飲めばいい程度の生理痛は、生まれつきの体質や、年齢が若くて子宮や卵巣の機能が整っていないために起こるものが多いといわれています。その場合、年齢が進むにつれて、症状が軽くなるケースも見られます。しかし、鎮痛剤が手放せない、あるいは生理のたびにだんだんひどくなる生理痛、医学的には、「寝込んでしまうほどひどい生理痛」「鎮痛剤を飲まないと我慢できない生理痛」を「月経困難症」と呼んでいます。

月経困難症の原因

月経直前または月経開始とともに、下腹部痛、腰痛、嘔吐、吐き気、頭痛、むくみ、イライラ、眠気、憂鬱、疲労、脱力感などが強く表れ、日常生活に支障を来たす状態を月経困難症といいます。診断は問診により症状をお伺いし、子宮内超音波検査による原因となる疾患がないかどうかを調べます。

超音波検査の結果、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫、腹腔内癒着など原因となる疾患が特定できる場合には、器質的月経困難症と診断します。特にこれらの疾患が見つからない場合には、原因となる疾患が不明な機能性月経困難症と診断されます。

このうち、機能性月経困難症の原因はさまざまですが、例えば10代から出産前では、まだ子宮頚管が狭いために、月経時に狭い子宮の出口からはがれた内膜が一度に外に出ようとして痛みが起こると考えられています。また、子宮内膜でつくられる陣痛を促進するホルモンには子宮収縮能働きがありますが、20代くらいの比較的に若い方の中にはこのホルモンの量が多いかたがいらして、月経痛を強める一因となっています。さらに、更年期になると、ホルモン分泌が減って、子宮内膜がはがれるときに剥離通が起こることがあります。他にも冷え性で血行が悪いとか、ストレスといった精神的なことで月経痛を強く感じる方もいらっしゃいます。これらは、病気が原因ではなく体質によって起こるために、産婦人科医が超音波検査を行っても特に原因となる疾患が見つかりません。臨床所見としては、出血量によって病状の強弱があり、月経1~2日目ぐらいが強くなることが特徴です。

一方で、器質的月経困難症は、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫、腹腔内癒着など子宮に何らかの疾患がある場合に器質的月経困難症と診断します。器質的月経困難症は、月経前4~5日から月経後まで持続することが多いです。30代になって痛みが強くなったり、月経の量が増えた方はこのような病気が隠れていることもありますので注意が必要です。

月経困難症の患者数

月経困難症の患者数は、推定800万人以上とされています。しかし、治療を受けている人はその10%程度にすぎません。ほとんどの方が「月経痛はみんなあるもの、病気ではないわ。」「生理痛がひどくて仕事を休むなんてとても言えない!」と痛みをがまんしているのです。昔は医学的にも我慢をするのが当たり前でした。しかしながら、今の医学では常に痛み止めを飲まなければならないような月経痛を我慢しているのは危険とされています。痛み止めは、その症状をやわらげるためのその場しのぎの薬であって、原因となる病気や症状を治すことはできませんし、乱用・多様すると胃に負担をかけすぎて、穴が開いてしまったり、体を壊すというリスクもあります。どんな薬でも多少の副作用はありますので、薬に頼らないことが一番ではありますが、生理のたびに痛み止めを飲まなければならないほどの状態で、痛み止めで身体を壊すくらいなら月経困難症の治療薬として認可をされているピル(LEP)を服用するほうが体への負担がずっと少なくてすみます。「たかが生理痛」とは考えずに、「いつもと違う」「最近つらくなってきた」「私ってひどいほうなのかな?」などと感じたら、ひとりで悩まずにいつでもご相談ください。

月経困難症の治療

治療方法は、器質的月経困難症の場合には、基礎疾患の治療を行うことが第一になります。機能性月経困難症・器質的月経困難症ともに対処療法として月経困難症治療薬(LEP)=保険適用のピルがあります。

ピルというと、避妊のための薬という意識が強くて、またホルモン剤であるために吐き気などの副作用を心配なさる方も多くいらっしゃいます。しかしながら、月経困難症の治療薬として保険適用が認可されているピル(LEP)には女性ホルモンを調整する働きがあり、排卵を抑制し子宮内膜の増殖を抑制することで、月経痛を改善させることができます。人によっては、それまでの痛みの1/5程度まで月経痛を和らげることができ、痛み止めに頼らない生活を送ることができるようになります。生理がはじまると2~3日は動けない、気分が悪くなって会社や学校にいけないという方も、月経困難症の治療薬であるピルを使うと、ほぼ普通の生活ができるようになります。多くの人が心配するホルモンによる副作用についてですが、昔はホルモンの少ないピルが少なくて避妊用のピルを治療用として使用していたので、むくみや吐き気などの副作用が強かったのですが、現在では1錠に含まれているホルモンの量が非常に少ない超低用量のものが主流です。月経困難症の治療薬ですから、診断のできる婦人科専門医のいる医療機関であれば保険もききますので、お財布にもやさしいです。(ジェネリックの場合は3割負担で1シート880円から。初診料・再診料・処方料が別にかかりますが、一度に3シートを同時処方すれば、初再診料や処方料を入れてもジェネリックの場合は1シート1000円ちょっとで済みます。)しかも、ピルを使えば生理の時期の調整もできるようになりますから、温泉や海などの旅行に生理を来ないようにすることもできるという嬉しいおまけつきです。しかしながら、避妊の効果もあるため、すぐにでも妊娠を希望する方には使うことができません。

ただし、どんな薬でも副作用はありますから、35歳以上でたばこを大量に吸っている方や太り気味の方、ご家族に血栓ができやすい病気の方がいる場合などにはピルを処方することが出来ません。服用前の問診表には正確に答えて、よく医師と相談しながら服用を開始するようにしてください。

そのような場合に選択できるのが、黄体ホルモン子宮内放出システム「ミレーナ」です。「ミレーナ」は黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを子宮内に持続的に放出することで、月経量を減らして月経痛を改善させることができます。月経困難症の場合には保険が適用されますが、自費の治療では避妊リングとしても用いられるものですので、当然ながらすぐにでも妊娠を希望する方には使うことができません。

すぐにでも妊娠を希望する場合には、機能性月経困難症の場合には妊娠・分娩により症状が改善、消失することがあります。