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持病の影響と妊娠

妊娠と同時に、子宮や卵巣に病気が見つかることが少なくありません。いずれも妊娠は続行できますが、手術が必要な場合もあります。

子宮筋腫は妊娠中はとらないのが原則

子宮筋腫とは、子宮の筋肉層にできる良性のこぶで、女性ホルモンのひとつ、エストロゲンによってできると考えられています。30代以降に多く見られ、35歳以上では5人に1人といわれるほど一般的です。

子宮筋腫は良性なので、原則として妊娠中はとりません。子宮に食い込むように大きくなる粘膜下や筋肉層内にできた筋腫でも、胎児の成長を妨げるようなことはありません。むしろ、妊娠中の子宮は血流が豊富で出血しやすいため、切除手術をするほうが危険です。ただ筋腫の位置や大きさによっては、前置胎盤や逆子になることがあります。また、おなかが張りやすく、切迫流・早産になりやすいので、無理をしないようにして、兆候があったら早めに受診することがたいせつです。

筋腫があっても基本的には自然分娩できますが、子宮口近くにできた場合は、分娩の妨げになるので帝王切開になります。ただ、子宮が大きくなるにつれて、筋腫の位置は変わっていくことがあるので、初期の段階では帝王切開が予測されても、その後の経過によっては、自然分娩になる可能性もあります。

次の妊娠も筋腫はそのままで大丈夫です。出産後、母体が回復したら、次の妊娠前に筋腫をとり除くのも手です。妊娠中に下腹部痛が強かった、出産時に出血量が多かったといった支障がなかった場合は、次の妊娠・出産を先行し、妊娠を望まない状態になってから根本治療を行ってもよいでしょう。

子宮内膜症

子宮内膜は、子宮の内側の裏地に当たる組織で、月経はこの部分がはがれるために起こる出血です。内膜症というのは、その内膜と同じ組織が、卵巣や卵管など、子宮の内側以外の場所で増殖してしまう病気です。そのために、月経血が体外に排泄されずに滞留するため、重い生理痛を起こして出血量も多く、生理のたびに悪化して、不妊の原因になることもあります。したがって、妊娠したということは、比較的症状は軽いはずです。また、妊娠中は生理が止まるために、内膜症は自然に回復へ向かうので、内膜症のまま妊娠しても、なんら問題はありません。ただ、子宮内膜症によって卵巣に血液がたまってはれる「チョコレート嚢胞」ができた場合は、妊娠中でも切除手術を勧められることがあります。その場合は、医師とよく相談してみましょう。

卵巣の腫れ・卵巣嚢腫・卵巣腫瘍

妊娠すると内診時に卵巣が腫れていると言われることがあります。考えられる理由としては二つあり、黄体嚢胞という妊娠に伴い現れる現象、または腫瘍性の卵巣嚢腫のどちらかです。

黄体嚢胞とは、妊娠すると妊娠を維持するためにhCGというホルモンが多量に放出されるのですが、これが時として黄体を刺激しすぎてしまって、黄体に水分を蓄積させて嚢胞を形成させてしまったものです。たいていの場合には、hCGホルモンの過剰刺激により嚢胞が出来ているので、hCGが減少する12週ごろまでには嚢胞も減少して腫れがなくなることがほとんどです。しかしながら、週数を経過しても小さくならなかった場合には、卵巣嚢腫か卵巣腫瘍を疑います。

ごくまれに、黄体嚢胞であっても卵巣が7cm以上の大きさになると、卵巣の根元がねじれる茎捻転を起こして激痛が生じて、最悪の場合には卵巣破裂を起こして命にかかわることもあります。したがって、10cmを超えてきたら、妊娠中であっても手術を行うことがあります。とはいえ、妊娠中に手術が必要なほどの卵巣の腫れは全体の1%にも満たずごくわずかです。悪性かわからないものについては、経過観察をすることの方が多くなります。

子宮頸管ポリープ

子宮の頸管にできた小さないぼのようなものをポリープといいます。ほとんどが良性のもので、特に心配はありませんが、ポリープをおおっている上皮が傷つきやすいため、おりものに血がまじったり、内診やセックスなどの刺激で簡単に出血します。ほうっておいても、分娩時にポロッととれてしまうことが多いのですが、たびたび出血するようであれば、手術で切除することもあります。手術は流産しやすい妊娠初期を避けて、安定期に入ってからします。

子宮の気がかりと妊娠出産

子宮が小さいといわれた

子宮の非妊娠時の大きさは、長さ約7cm、幅約5cm、厚さ約2.5cmで、上のほうがふくらんで西洋梨をさかさにしたような形をしています。妊娠すると2ヵ月末に鶏卵よりひとまわり大きくなり、3ヵ月末では手のこぶし大、4ヵ月末では子どもの頭くらいの大きさに発育するのがふつうです。ただ、体格や体質によって、子宮の大きさにも個人差があり、大柄な人は大きめ、小柄な人は小さめです。小さめの人でも、妊娠週数が進めば自然に大きくなりますし、小さめだからといって、胎児の発育が悪かったり、流産をしやすいといったこともありません。

子宮後屈

子宮は骨盤のほぼ中央にあり、ふつうはおなかの側に少し傾いています。これが背中側に傾いている状態を「子宮後屈」といい、体質的なもので、異常ではありません。一昔前までは、子宮後屈だと妊娠しにくいといわれ、確かに癒着性の子宮後屈で、卵管炎や卵巣炎がある場合は、妊娠がむずかしくなります。ただ、すでに妊娠していれば、全く問題はないわけです。また、妊娠すると、胎児が大きくなるにつれて、その重みで子宮が前に引っ張られて、正常な位置に戻ることが多く、出産にも特に影響はありません。

子宮奇形

子宮が先天的に変形していることを子宮奇形といいます。子宮はもともと二つのミュラー管というものがくっついて一つになったものです。くっつき方が悪いと、子宮の上部が二つに分かれたままの状態になることがあり、これを双角子宮といいます。その他にも重複子宮や中隔子宮などのさまざまな奇形があります。子宮奇形は全女性の4~5%にみられますが、ほとんどが無症状で、不妊症や習慣流産などによって検査を行ってわかることが多いです。不育症と診断された人の中には、子宮奇形が原因の人もいます。子宮奇形は、流産、早産、不育症のリスクがあるので、妊婦健診の回数を増やして総合病院などのハイリスクなお産を管理できる設備が整った環境で経過を見守ることが一般的です。お産については、子宮収縮がうまくいかずに微弱陣痛や胎児の回旋異常になることもありますので、帝王切開になることもあります。とはいえ、子宮奇形でも正常な妊娠・出産になることも多いので、必ずしもこのようになるとは限りませんので、医師とよく相談をして下さい。

双角子宮

子宮はもともと二つのミュラー管というものがくっついて一つになったものです。くっつき方が悪いと、子宮の上部が二つに分かれたままの状態になることがあり、これを双角子宮といいます。双角子宮の場合、妊娠週数が進んでも、ふつうよりは子宮が大きくなりにくい傾向があります。そのために、流産や早産になりやすく、赤ちゃんの発育に影響することもあります。ほとんどの場合、無事に出産できますが、流・早産になりやすいことを念頭に、無理のない生活を心がけて検診をきちんと受け、おかしいと思ったら早めに受診するようにしましょう。