国内初のミニピルである「スリンダ錠28」が認可され当院でも2025年7月1日よりお取り扱いを開始致します。
これまで、国内で認可されているピルは合成エストロゲンとプロゲスチンの2種類の女性ホルモンが含有された混合型経口避妊薬だけでしたが、「スリンダ錠28」は国内ではじめて認可された単剤型プロゲスチン製剤であり、血栓症の原因となるエストロゲンを含んでいません。
そのため、従来のピルに比べて血栓症のリスクが低くなっており、これまでピルを服用することのできなかった喫煙者の方や40歳以上の方、高血圧、肥満、脂質異常症、前兆を伴う片頭痛をお持ちの方、血栓症リスクのある方など、従来のピルの内服ができなかった方にも処方が可能となっております。
それにもかかわらず、避妊効果は99.6%と今までのピルと同等に高く、臨床試験では、8日連続して飲み忘れた場合を除き、妊娠例はほぼゼロと報告されております。
さらに、「スリンダ錠28」は、エストロゲンを含まないため、従来のピルで吐き気や頭痛、めまいなどのマイナートラブルに悩まされていた方でも、このようなマイナートラブルを改善できる可能性があります。(ただし、「スリンダ錠28」においても、腹痛(12.3%)、悪心(5%以上)、嘔吐・めまい(1〜5%未満)が報告されていますので、これらの副作用は、従来のピルに比べて少ないとされているものの、改善できるかどうかは体質や体調によって個人差があります。)
なお、「スリンダ錠28」では、月経痛や過多月経などの月経症状の緩和やPMSが改善される可能性も見込めますので、これまでエストロゲンを含む月経困難症治療薬やジェノゲストが合わなかった方にも選択肢となりえるのですが、あくまでも経口避妊薬として認可されており、月経困難症治療薬として保険適用を受けているわけではないので、自費での扱いとなることにご注意ください。
このように、良いことずくめの「スリンダ錠28」ではありますが、当然ながら副作用も報告されています。主な副作用としては、不正性器出血(月経中間期出血、異常子宮出血)(89.9%)、下腹部痛(13.4%)、月経異常(過少月経、過長過多不規則月経、重度月経出血)(14.9%)、頭痛(16.3%)、腹痛(12.3%)などが報告されており、服用初期は3割くらいの方で不正出血が続く場合があります。しかしながら、これらの副作用は服用開始から数ヶ月で改善したり、頻度が減ることが多いです。
当院では、患者様がご希望の場合には、一度に6シートまでの処方が可能ですが、ピルは薬剤につき返品ができないため、飲みはじめの時は1シート処方し、徐々に処方シート数を増やして頂くことをおすすめいたします。(1回目1シート、2回目2シート、3回目以降6シートとして頂くのが安全ではありますが、あくまでも患者様のご希望に沿って処方致します。)
費用
2,970円/1シート
※2回目以降、問題なく服用可能な方は、オンラインでも処方可能です。
「スリンダ錠28」の服用方法
初めてピルを内服する場合:
月経1日目(月経がはじまった日)から飲み始めてください。1日1錠を毎日同じ時刻に白い色の錠剤から開始し、指定された順番に従い28日間連続で服用して下さい。
以上の28日間を投与1周期とし、29日目から次の周期の錠剤を服用し、以後同様に繰り返して下さい。(休薬期間はありませんが、1周期の28錠にはオレンジ色の偽薬が4錠含まれているので、結果としては4日休薬したことになります。)
なお、飲みはじめの最初の1週間はコンドームなどの避妊法を併用する必要がある点にご注意ください。
他のピルから切り替える場合
前に服用していた薬剤のうち、有効成分を含む錠剤をすべて服用した翌日から飲み始めて下さい。
子宮内避妊システム(ミレーナ・ノバT)から切り替える場合
取り外したその日から飲み始めて下さい。
服用し忘れた場合
・ 1日飲み忘れた場合
思い出した時点ですぐに1錠服用し、翌日からは通常通りの時間に服用を続けます。
・2日連続で飲み忘れた場合
気づいた時点ですぐに1錠服用し、翌日からは通常通りの時間に服用を続けます。その周期は、追加の避妊法(コンドームなど)を併用してください。
・3日以上連続で飲み忘れた場合
内服を中止し、次の月経から内服を再開してください。その周期は、追加の避妊法(コンドームなど)を併用してください。
◆3時間以上飲み忘れた場合
従来のピルの服用においては、2~3時間程度のずれであれば避妊効果に影響はないとされていましたが、ミニピルである「スリンダ錠28」は飲み忘れだけでなく、3時間以上服用時間がすれてしまうと、避妊効果が下がります。さらに、不正出血の原因にもなるため、「スリンダ錠28」は、毎日同じ時刻に確実に服用することが重要です。アラームをセットするなどして、毎日同じ時間に服用するように心がけて下さい。
服用して頂くことが出来ない方
・乳癌又は生殖器癌及びその疑いのある方
・診断の確定していない異常性器出血のある方
・重篤な腎障害又は急性腎障害のある方
・重篤な肝障害のある方
・妊婦又は妊娠している可能性のある方
慎重に判断する必要がある方
・骨成長が終了していない可能性がある女性(14~17 歳の思春期女性を対象とした海外臨床試験において、骨成長が終了していない可能性がある女性に対しての情報が十分ではないため。)
・乳癌の既往歴のある方
・うつ病又はうつ状態の方と既往歴のある方
・活動性の静脈血栓塞栓症の方
・腎障害のある方
・肝障害のある方
・授乳中の方