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国内でも長らく認可が待たれておりました、9価の子宮頸がんワクチン「シルガード9」の製造販売承認が取得されましたのでお知らせ致します。(7/21日に販売開始されましたが、現在流通待ちとなっており、こちらの記事は予告記事となりますことをご了承下さい。)

◆子宮頸がんとは◆

子宮にできるがんには子宮頸がんと子宮体がんの二つがあり、子宮の入口付近にできるがんを「子宮頸がん」、子宮の奥の胎児が育つ場所にできるがんを「子宮体がん」といい、子宮頸がんは子宮がん全体の約7割を占めます。好発年齢は30代~40代で、2020年現在、日本では年間約 1万人が発症し、約 2800 人が死亡していて、女性特有のがんの第2位の発症率となっています。
この子宮頸がんの原因の約9割以上がヒトパピローマウイルス(以下HPVと略)の感染によって起こることが明らかになってきています。HPVは性交渉により感染するウィルスで最近では、性交渉年齢の早期化を理由として、若年者(20歳〜30歳)にも子宮頸がんが多くなっています。
予防法はHPVの感染を防ぐことに尽きるわけですが、HPVは一度でも性交渉経験のある女性なら生涯に感染する確率は80%以上とされる、ごくありふれたウィルスです。ほとんどの人は、感染しても自己免疫力などで回復するのですが、原因がわかりませんが、0.1%程度の割合で癌化してしまうのです。
罹患しても、前癌病変である異形成や上皮内癌では症状を呈することはなく、無症状であることが多いのが特徴です。そのため、子宮頸がんを防ぐためには、子宮頸がんワクチンを受けて頂くことが非常に重要です。
子宮頸癌はワクチンにより撲滅が出来る数少ない癌です。実際に女子の接種率が80%を超えたオーストラリアでは2028年には子宮頸がんは撲滅するとも言われています。将来、性交渉の可能性のある若年層(小学6年生以上)とその親御さん、未婚の10代、20代の方などは、ぜひ接種を検討して下さい。

◆日本だけ増加傾向にある子宮頸がん罹患率◆

日本を含めた先進国では胃がんや肝臓がんの死亡率は減少しています。しかしながら、日本では子宮頸がんだけが増加の一途をたどっているとされています。原因は、日本では平成25年4月に子宮頸がんワクチンの定期接種が実現したものの、副作用と推測される事例が発生したために、厚生労働省が接種勧奨を差し控えるという発表を行ったためではないかと考えられます。しかし、その後も、副作用とされた症状と子宮頸がんワクチンの因果関係は証明されておらず、仮に接種しなかった場合でも、副作用とされる症状は十分に起こりえたことがわかっています。
マスコミの偏った報道により、子宮頸がんワクチン=危険という誤った認識が植え付けられてしまい、この結果、先進国の中では日本だけ、子宮頸がんの罹患率が増加傾向にあります。実際、私の外来でも、子宮頸がんの患者様は増えていると実感しております。子宮頸がんワクチンには副作用が「絶対にない」とは断定はできませんが、そのリスクは証明されておらず、子宮頸がんワクチン接種によって救える命の方が明らかに多いということが世界的に明らかになってきています。
前述しましたように、女子の子宮頸がん接種率が80%を超えるオーストラリアでは、男子にも接種開始しており、2028年には子宮頸癌は撲滅するとまで言われています。
HPVは男性でも、咽頭がん、直腸がん、肛門がん、尖圭コンジローマなどの原因になります。尖圭コンジローマは、時には切除が必要な上に、再発の割合が高いやっかいなイボです。したがって、男性であっても、女性へのエチケットとして以上に、男性自身の予防のためにも、すべての若年層が接種をするべきだと私は思います。
12月4日に厚労省の審議会で、男性接種の拡大の可否が審査されることになりましたので、日本でも「シルガード9」の流通開始後に、男子にも公費助成が拡大されればと期待しています。

◆「シルガード9」と「ガーダシル」「サーバリックス」の違い◆

HPVには100種類以上の型があり、そのうち性交渉により感染し発がんリスク等のある型は約20種類程度と考えられています。今回、日本で製造販売承認が取得された「シルガード9」は、いわゆる9価と呼ばれるワクチンで、発がん性の高い6/11/16/18/31/33/45/52/58型の感染に起因する子宮頸がん及びその前駆病変、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマの疾患予防に有効で、海外でのエビデンスなどから、90%以上の子宮頚癌と尖圭コンジローマを予防することができるとされています。
一方、「サーバリックス」は2価のワクチンで16/18型のみ、「ガーダシル」は4価のワクチンで、6/11/16/18型及び尖圭コンジローマ、内腫瘍などしか予防できません。これまで日本では、「サーバリックス」と「ガーダシル」の2価と4価しか承認がされていなかったのですが、やっと待望の9価の子宮頸がんワクチンが承認されたことになります。
子宮頸がんワクチンは、3回の定期接種が必要なワクチンですが、ワクチンの種類は接種開始以後、変更することはできません。いずれのワクチンも必ず3回の接種が必要になりますので、これからの接種を検討されている方は、ぜひ「シルガード9」の流通を待って接種なさることをおすすめします。
なお、現在、同じMSD(株)が発売している「ガーダシル」は、対象年齢(小学6年生~高校1年生)の女子には公費助成での無料接種となっておりますので、おそらく「シルガード9」もそう遅くない時点で、公費助成となるのではないかと推測します。
発売開始されたとはいえ、まだ流通に至っておらず、すぐに接種を開始することができなくてもどかしいのですが、流通開始されましたら、クリニックでもすぐにホームページにてご案内を致しますので、どうぞいましばらくお待ち下さい。