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子宮頸がん・体がん・卵巣がん

子宮やその近くにおいて発症する可能性があるがんには、①子宮頸がん②子宮体がん③卵巣がんの3種類があります。子宮は頸部と体部に分かれていて、子宮頸部は子宮の入り口の3分の1のことで、頸部の奥にある残りの3分の2が子宮体部です。同じ子宮とその近くにできるがんではありますが、がんが発生する原因、がんの構造、症状の進み方が大きく異なります。そのため、検診の頻度や自治体での補助制度、受診すべき年齢や症状がそれぞれ異なってきます。

子宮頸がん

子宮頸がんは子宮頸部にできるがんのことです。子宮頸がんは日本では20~30代の女性のがんの中では発症者数が最も多く、若い女性の罹患率が年々上がっているがんです。毎年約21,000人以上が発生し、1日に10人の女性が死亡しているといわれています。これは、日本の女性生殖器悪性腫瘍の中では最も罹患率の高いがんであるといえます。子宮頸がんの後発年齢は30~60歳台で、40歳台が発症のピークとなっています。現在では、25~34歳の女性における最多の悪性腫瘍であり、35~54歳でも乳がんに次いで多い悪性腫瘍です。

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であることがわかっています。HPVは、性交渉で子宮の入り口の子宮頸部の細胞に感染し、細胞を子宮頸がんへと変化させてしまうウィルスですが、HPVに感染することは特別なことではなく、ごくありふれた現象で、性交渉の経験のある女性の70%~80%がHPVに感染しているともいわれていますHPVに感染していても、症状はありませんので気がつきません。そして、感染したうちの約70%は1年以内に、約90%は2年以内に自然にウィルスが消失してしまうことがわかっています。残りの約10%の人が長期化し、HPV感染から頸がんを発症する女性は1000人に1人くらいです。

このようにHPVは、性交渉の経験がある女性であればだれもが感染する可能性があるごくありふれた感染症です。ウィルスに感染しないことが子宮頸がんの予防となるわけなのですが、困ったことにどの男性がHPVを持っているかはわかりません。そこで、パートナーが新しくできたら、新たにHPVに感染するリスクがあると考えて、子宮頸がん検診を受診頂きたいと思います。

HPVは感染から子宮頸がんになるまでに何年もの長い時間がかかるがんです。しかも検診では、子宮頸がんの前段階である異形成も見つけることができ、その時点での治療も可能です。早期のものは100%治ります。性交渉の経験のある女性であれば、だれもが感染する可能性があると考えて、定期的な検診を受けるようしましょう。

子宮頸がんワクチンについて今一度考えてみましょう

HPVを予防する手段として忘れてはならないのが子宮頸がんワクチンです。日本では2009年にHPVワクチンが承認され、2013年4月から予防接種法による定期接種が開始されましたが、アナフィラキシーショックなど重い副反応の報告が報告され、厚生労働省が接種勧奨の一時差し控えを決定し、現在でもそのままとなっています。副作用を理由にワクチン接種を控えている国は120ヶ国以上の国で日本だけとなっています。このような事態を受けて、WHOは日本では子宮頸がんワクチンの接種を行っていないために、子宮頸がんの死亡率が上昇していると名指しで批判をしています。

どんな薬にも副反応の可能性がありますが、HPVワクチンの場合には、激しいけいれんや、全身の痛み、歩行障害などの重い副反応が生じたとの報告により、当時、連日マスコミで取り上げられて大変な問題となりました。しかしながら、ワクチンが症状を引き起こしているという客観的な証拠は、今のところ見つかっていない上に、一番重大なアナフィラキシーショックに至っては96万接種に1回と非常に稀です。

子宮頸がんは、年間約21,000人が新たに発症し、3,000人近くが亡くなっています。副反応と接種しないことによるデメリットを一人一人がはかりにかけて、ワクチン接種の判断を行うようにして下さい。そしてワクチン接種をしない場合には、できれば1年に1回の定期的な子宮がん検診を欠かさずに受けることを忘れないようにして下さい。

このような人は積極的に子宮頸がんの検診を受けましょう

□性交渉の経験がある
□子宮頸がん検診を受けたことがない
□煙草を吸う
□クラミジアに感染したことがある
□子宮頸がんワクチンを受けていない
□ピルを服用している(コンドームの使用率が下がるため)

このような症状が見られたら受診しましょう

□不正出血
□下腹部鈍痛・腰痛
□おりものからの異臭子宮体がん

子宮体がん

子宮体がんは子宮体部の内膜発が異常に増殖することによって発生するがんです。かつては子宮体がんは比較的めずらしく、子宮がん全体の5%くらいしかなかったので、子宮がん=子宮頸がんというイメージが強かったのですが、最近では子宮がん全体の45%以上と急増しています。子宮体がんは妊娠回数が少ない、または妊娠経験がない女性がかかりやすいがんで、晩婚化や少子化、高齢化により発生が増えていると考えられます。

子宮体がんは子宮内膜の増殖によって起こります。一般的に子宮体がんが発生する子宮内膜は月経時に剥がれ落ちて排出されますので、毎月月経があれば子宮体がんになることはほぼありません。このような理由から、子宮体がんは更年期を迎える40代後半からぐっと増えるがんですが、月経不順や排卵障害がある場合には、閉経前であっても発症することがあります。

子宮体がんは、その初期から不正出血がみられるのが特徴です。私の経験では、体がんの患者さんの90%に不正出血の症状があり、まったく症状がない子宮体がんは5%くらいしかありません。特に更年期で月経が周期的に来ない人は、不正出血をこの月経と勘違いしてしまうのですが、更年期の年代が子宮体がんの発生する年代ですので、注意するようにして下さい。また閉経後の人は、わずかでも不正出血があったらまず子宮体がんをうたがって、婦人科を受診するようにしましょう。子宮体がんにはそのほか、おりものが気になる、下腹部が痛むをいった症状があります。早い段階で発見、治療をすれば回復が見込めます。

このような人は積極的に子宮体がんの検診を受けましょう

□45歳以上
□月経不順や排卵障害がある
□妊娠や出産の経験がない
□肥満
□更年期障害の治療でエストロゲンを単独で用いている人
□乳がんの手術後ホルモン治療を受けている
□家族・親族に大腸がんや子宮体がんにかかった人がいる
□動物性の食事がすき
□ピルを服用したことがない
□52歳以上で閉経した
□糖尿病と診断を受けた

このような症状が見られたら受診しましょう

□不正出血がある
□下腹部痛がある・腹部の膨満感がある
□黄色いおりものがある
□月経不順、過多月経、過長月経

卵巣がん(卵巣腫瘍)

卵巣がんはほとんど自覚症状がない上に、他の臓器のがんに比べて進行が早いので気づいた時にはかなり進行していることが多く、毎年約1万人の女性が発症し、約4800人が命を落とす死亡率の高いがんで、乳がんを別にすると婦人科がんの中では最も死亡率・死亡数が高いといえます。それにもかかわらず、卵巣がんは無症状のことが圧倒的に多く、婦人科検診ではじめてわかるケースが非常に多くなっています。

卵巣がんの原因は、乳がんと同じがん遺伝子であるBRCA1とBRCA2をはじめとして、出産歴がないこと、婦人科疾患である多嚢胞性卵巣症候群や子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞)などが指摘されています。また、肥満、食事、排卵誘発剤の使用、ホルモン補充療法などが可能性のあるリスク因子として挙げられています。

経口避妊薬(ピル)の使用は、排卵の回数を減少させるので、卵巣がんのリスクを逆に低下させると考えられていて、ピルには卵巣がんの予防効果があります

大多数の卵巣がんは遺伝性ではなく、卵巣がんが年々増加している理由としては、現代女性のライフスタイルの変化があります。卵巣では、排卵のたびに中から卵子が出てきて、卵巣の表層上皮が傷ついて修復されるということを繰り返していますが、これにより、表層上皮の細胞が異常繁殖をすることが卵巣がんの原因とされています。卵巣がんは排卵の回数が多いほどリスクが高まるので、晩婚化、少子化が進んでいる現代では卵巣がんが増加傾向にあり、妊娠経験のない女性や出産回数の少ない女性にリスクが高くなっています。卵巣がんの罹患者は50~60代が多いのですが、20~30代に発症することもあります。卵巣には良性、悪性を含めていろいろな種類の腫瘍が発生しますが、卵巣がんは卵巣嚢腫全体の約10%くらいに見られます。

家族や親族に卵巣がんや乳がんになった人がいる場合やチョコレート嚢胞の患者様は、卵巣がんを発症しやすいとされていますので、積極的に検診を受けるようにしましょう。卵巣がんは進行が早いために、早期発見・治療が難しいとされています。しかしながら、子宮頸がんと同時に経膣超音波検査を受ければ発見することができます。経膣超音波検査は、性交渉の経験のある方であれば、子宮体がんの検査と違って痛みを伴わない上に、同時に良性の卵巣嚢腫、卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜症などが見つかることがありますので、子宮頸がん検査を受診するときには、セットで受診するようにしましょう。また、家族や親族に卵巣がんや乳がんの既往歴のある方がいる場合や、患者様本人に気になる症状がある場合、経膣超音波検査で気になる点が見つかった場合などには、CA125という卵巣がんの腫瘍マーカーも併せて調べることが一般的です。

このような人は積極的に卵巣がんの検診を受けましょう

□40歳以上である
□家族・親族に卵巣がんや乳がんにかかった人がいる
□出産経験がない
□チョコレート嚢胞がある
□乳がんを発症したことがある
□肥満
□高たんぱく、高脂質の食べ物が好きだ
□ピルを服用したことがない

このような症状が見られたら受診しましょう

□腹部の膨満感、しこり、ふくらみを感じる
□腹囲が大きくなり、妊娠と誤解される
□下腹部に痛みがある
□不正出血
□頻尿

がん検診は自治体の補助を上手く活用して受診するようにしましょう!

3つのがんのうちで、自治体などの子宮がん検診でカバーされているのは“①子宮頸がん”だけです。(横浜市では20歳で無料クーポンが郵送され、以後は2年に1回横浜市の補助があります。)これは、検査がしやすく多くの女性を救えるからです。子宮頸がんが発生する子宮頚部は検査のしやすい場所で、子宮頸がんは多くの女性が発症することと、早期発見で確実に治療ができることがわかっているため、検診の効果が大きいのです。そのため、自治体や企業の検診では子宮頸がん検診が行われています。

2つ目の子宮がんである②子宮体がんは、子宮頚部の奥にある子宮体部の内膜で発生し、検査が難しく人によっては痛みが伴うため、無症状の女性には子宮体がんの検診は行いません。不正出血や月経異常のある女性だけが自治体の補助の対象です。

また、3つめのがんである、卵巣で発生する③卵巣がんはほとんど自覚症状がない上に、他の臓器のがんに比べて進行が早いので気づいた時にはかなり進行していることが多いのが特徴です。毎年8000人以上の女性が発症し、4000人以上が命を落とす死亡率の高いがんですが、自治体の補助はありません。卵巣がんの検査は、子宮がん検診の際に希望して経膣超音波検査を受ければ、確認することができます。

経膣超音波検査でわかる卵巣の腫れ物には、悪性のがんだけではなくて良性の腫瘍もあり、経膣超音波検査を受ければその両方を見つけることが出来ます。さらに経膣超音波検査では、卵巣嚢腫や子宮筋腫や子宮内膜症などの病気も発見することが出来ます。子宮頸がん検診を受診する際には、ぜひ同時に経膣超音波検査で卵巣に腫れ物がないか、子宮内膜症や子宮筋腫がないかを確認するようにしましょう。

当院では、横浜市のクーポンや助成を使って子宮頸がん検診を受ける患者様には、念のためみなさまに経膣超音波検査にて卵巣の腫れ物、子宮内膜症、子宮筋腫がないか等を確認させて頂いており、この場合には超音波の費用は頂いておりません。せっかく婦人科に来て嫌な思いをして内診台に上がるのに、子宮頸がん検診だけを受診して経膣超音波検査を行わなかったがために、卵巣がんや子宮筋腫、子宮内膜症を見逃すようなことをなくしていきたいと考えるからです。ただし、性交渉の経験のない方が経膣超音波をお受けになると痛みを伴うために、性交渉の経験のない方が卵巣の腫れ物や子宮筋腫などの確認を希望する場合には、経腹超音波検査(お腹の上からの超音波検査)での確認をさせて頂いており、この場合は自費で有料になります。なお、検査の精度は経膣超音波検査の方が高いので、性交渉の経験のある方は経膣超音波検査をお受け下さい。