無痛分娩について

最近、無痛分娩の事故の報道が増えたことで、否定的、反対的な意見や改善を求める声が多くなっています。私は麻酔科医としての経験により無痛(和痛)分娩に対しては肯定的です。母親が極端に痛みに弱く、痛みへの恐怖で精神的な不安が強すぎる時は麻酔の力を借りて心配や痛みを和らげ、お産をスムーズにすることも一つの手段です。
日本で無痛分娩の普及を防げる原因としては、欧米とくらべて分娩費用が高いことや無痛分娩を扱う施設がまだ少なく麻酔科医の数が少ないことです。自然分娩を希望していたとしても、何かしらの原因で陣痛促進剤を使用しなければならない時や帝王切開になってしまうケースもあります。適度な濃度・量の薬を使用すれば、無痛分娩によって帝王切開の頻度が高まることはありません。鉗子・吸引などの器機分娩の頻度が高まる可能性はありますが、胎児に影響を与えることはほとんどありません。
どんな出産でも安全性を過信せずに無痛分娩の実績と経験のある医師がいて、緊急時の対応ができる施設を選ぶことが重要です。様々な意見はあると思いますが、無痛分娩だから危険が増加するイメージはなくなることを願っています。

投稿日:2018年11月14日|カテゴリ:院長コラム